「ふたば☆ちゃんねる」英語版「4chan」の歴史と匿名性の未来
Facebook、Google Plus といったソーシャルネットワーキングサービスの新機能などが何かと話題に上がることが多い今日この頃ですが、日本語圏では依然として匿名掲示板も根強く読者・参加者を持っています。そういった日本の掲示板文化にインスパイアされた掲示板が英語圏にもあるのはご存知でしょうか?その、4chan.org の創始者とサイトの歴史などに触れた記事が Slate に載っていました。
https://ted.com/talks/view/id/874
当時ティーンエイジャーだった Christopher “moot” Poole 氏は、2004年に「ふたば☆ちゃんねる」をモデルにして掲示板を作成しました。最初に作られた/b/ 板は現在も最も人気があり、LOLcats、FAIL ブログ、リックローリング、偽 Successories ポスター など、数々のインターネット上のジョークやキャラクターなどの発祥の地となっているのも2ちゃんねると同様です。先日お伝えしたアメリカでCMに出るほどまでに人気となった Nyan Cat も、こういった掲示板などで何度もリミックス・共有され、他のサイトに広まっていっています。

/b/ の内訳 (via OhInternet)
MIT の研究者たちが昨年この板での活動を調査したところによると、/b/ だけでなんと2週間に約480万スレッド・5600万投稿があったそうです。スレッドの平均寿命はわずか3.9分、トップページの滞在時間は5秒(!)。いわゆるいまどきのサイトのように自動更新がないので流れが目に見えるわけではありませんが、この回転の速さが「スレッドが消える前に反応しないと」という意識や、「面白いものは急いでローカルに保存する」という文化を促しており、瞬間最大風速の強いインパクトのある画像をリミックスしてアップロードするインセンティブになっていると分析しています。
4chan ではほぼすべての投稿が匿名ですが、固有のアイデンティティを持つことで人々は本心を正直に話したり、実験的なことをしない傾向にあると言われています。この研究では「匿名性によってコンテンツと発言者の立場に特別なつながりがなくなり、遠慮なく失敗を恐れず面白いものを評価できる」と結論づけられています。
TED や SXSW でも匿名主義の利点を唱える Poole 氏は現在、Canvas というサイトをスタートしたそうですが、4chan も引き続き運営していくと答えています。TED の動画(上)の最後で、Poole 氏はこのように述べています。
面白いと思うのが 4chanのようなコミュニティーが オープンな広場であるというところです。フィルターはかかっていません。[…] 時代の流れはソーシャルネットワーキングに向かっており、(このようなサイトは)絶滅寸前な状況です。流れは実名社会へと向かっており、私たちの社会はプライバシーの欠如を容認する方向へと進んでいます。そのような方向へ向かう事によって私たちは多くの大切なものを失おうとしているのです。
匿名掲示板にしろ、ソーシャルネットワーキングにしろ、今までなかったものが現れることで私たちは壮大な社会実験の材料になっているのかもしれませんが、このようなすさまじい勢いのコミュニティやそこで活動する人たちの行動が研究されることで判明する人間の心理というのもありそうです。
via 4chanomics on Slate
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2011/07/11 at 08:25