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IT業界とニューヨーク市
A-Listers では New York の話題を繰り返し書いてきていますが、New York 市で一番の産業と言えば、おそらく金融で、その次がメディアでしょう。五月の第三週、インターネット関連のメディアが一同に会する Internet Week NY というお祭りがありました。最終日の 21日は Webby Award の授賞式もありました。ソーシャルメディアが全盛のこの頃では、お祭りごとの相対的な存在感がやや薄らいで来たような気もしますが、ドッグイヤーなインターネットでは 16年も続けば大御所ですね。
ファッションショーや映画など Made in NY キャンペーンを見た事はありませんか?New York 市が街の魅力の紹介と産業の育成の両方を業界と一緒になって取り組んでいるものです。最近ではそのインターネット版とでも言えるようなキャンペーンもやっていて、Digital Jobs なんてのはインターネットを仕事とする我々には嬉しいサイトですね。最新の成果として eBay も New York 市に新しいオフィスを作るようです。
そんな中、New York ローカルな startup に在籍した Jeff Atwood 氏(stackoverflow で有名な Fog Creek の co-founder)が、以前の記事でチラッとお伝えした New York 市長 Mike Bloomberg 氏の2012年の抱負: プログラミングを学ぶことに関して賛否両論なブログ記事を書いてやや炎上していました。
New York 市のテックコミュニティへのリップサービスであろうとはしつつも、もし市長の仕事をこなすために、JavaScript を書かなきゃいけないとしたら何かが根本的に間違ってる、という主張を、自身の過去のエントリを引きつつ高らかに語っています。政治家にはもっと他にすることがある、ある朝起きてたら凄腕 Java プログラマーになっていた Mike Bloomberg が市長職をよりよく出来る理由なんてない!と。
Bloomberg 市長の抱負は、その tweet 自体にも含まれていますが明らかに http://codeyear.com/ のキャンペーンの一環です。女性の IT 業界への参加を促す活動を始め、産業人口の増加は産業自体の強化につながる訳ですから、いいことなんじゃないでしょうかね?
CoderDojo Tokyo #1 と創始者ジェームズ・ウェルトン氏来日のまとめ
このサイトでも何度か取り上げてきた子供たちにプログラミングを教える国際的「道場」の CoderDojo。国内ではこれまでにも CoderDojo Tokyo #0、#0.5 として何度か開催されており、日曜日にはアジア初の正式開催となる「CoderDojo Tokyo #1」が新宿の東洋美術学校にて行われていました。そのレポートがブログや Togetter に上がっています。
- こどもたちにプログラミングを教える CoderDojo Tokyo #1 を開催しました – 僕は発展途上技術者
- 白熱コーダー道場!with James Whelton – エコシステムについて考えるブログ
- CoderDojo Tokyo #1 James Whelton in Tokyo – Togetter
また、その翌日には下北沢オープンソース Cafe にて CoderDojo 創始者の一人であるジェームズ・ウェルトン(@jwhelton)氏がプロジェクトについての説明や質疑応答を行いました。Ustream での録画もありますが、以下、日本語でご紹介します。
CoderDojo Tokyo 開催までの経緯
- 以前から息子さんと Scratch などでのゲーム開発をやっていた石原さん(@jishiha)と、当サイトに載っていた記事を見て興味を持った OSSCafe の河村さん(@cognitom)が「東京でもやりましょう!」ということになり、#0 と #0.5 を企画・開催。
- 東洋美術学校の中込さん(@daisukenakagome)が同じタイミングでジェームズに連絡をしていたことも重なり、東京で3回目の「道場」として日曜日のイベントを開催。13人の子供に加え、サポートや保護者・見学者として大人も多数参加し、創始者のジェームズもアイルランドから来日。
- CoderDojo Tokyo #1 では Scratch、HTML、Squeak Smalltalk の3ストリーム体制。Codecademy の
JavaScriptHTML レッスンも使われた。
CoderDojo の起源と成長
(一部、CoderDojo のサイトからの説明も加えています)
- もともとプログラミングを独学で勉強していたジェームズが iPod Nano で動画やゲームが使えるようにしたハックで注目を得たのがきっかけで、当時通っていた PBC コーク高校の友人などにコーディングを教え始めた。これが、2011年の初めごろ。
- その後、起業家・慈善事業家であるビル・リャオに出会い、2011年6月、初の「CoderDojo」をアイルランド、コークのナショナル・ソフトウェア・センターにて開催。大きな成功を収める。
- 全世界には70以上、アイルランドの首都ダブリンだけでもすでに23の道場があり、毎週のように各地でイベントが開かれている。すでに200人の子供が空席待ち中とか。
- 今後はコミュニティサイトその他のインフラを整え、Dojo を開きたい人が楽によりよいリソースを手に入れられるようにするための活動にも力を入れていきたいとのこと。
ジェームズのビジョンと姿勢
「高校生の時は勉強もスポーツもできなかったし、ギターもうまく弾けない、でもコーディングが好きだった」というジェームズは若干19歳。学校ではコンピューターのクラスもなかったし、自分で試行錯誤しながら学んできたので、教えてほしいという若者がいたら手を貸してあげたいと思ったとのこと。
生徒のリピート率は全体で7−8割という高い数値だそうですが「また来たい、と自ら思わない子はそれでもいい。学校でパソコンのクラスがあれば落第しない程度の貢献ができたかもしれないし」とも言っていました。そんな彼だからこそ、押し付けがましくなく子供たちの興味をうまく伸ばしてあげる CoderDojo のスタイルができあがったのだろうと納得させられました。運営方法のコツなどは、@yasulab さんの「僕が見聞きしたCoderDojoの運営ノウハウ」という記事にまとめられています。他人に何かを教えてそれをさらに広範囲に共有していくための大事なポイントが要約されているので、IT系勉強会に限らず役に立つ内容ですね。
関連リンクなど
次回は5月13日に「CoderDojo Tokyoのメンターが集まって、これからの作戦会議をしようというイベント」が下北沢にて予定されているようです。他の地域でやってみたい!という方の相談も受け付けているそうですので、興味がある方は Facebook ページからメッセージを送ってみてはいかがでしょうか?
- 「CoderDojo おとなの部」Ustream 録画: その1、その2、その3、その4
- @CoderDojoTokyo Twitter アカウント
- Tokyo CoderDojo Facebook ページ
23人のキッズがプログラミングに熱中したCoderDojo
子供にプログラミングの楽しさを伝える場所があったら素晴らしい場所になる。その証拠といってもいいような写真と記事がgithubのブログにアップされていました。githubでは先日紹介した、子供向けのプログラミングイベントCoderDojoという活動に参加しその最初のイベントが先週末に開催され大盛況だったようです。
23人の子供とたくさんの親、12人のメンターで満員の会場。(※そして脅威のMac率)最初の1時間はHTMLについての内容で子供たちはタグがどのように動くのかを学び、自分自身についてのウェブサイトや2匹のセイウチの写真、Minecraft、脅威の数の忍者軍団についてのページを作成しました。
10分間のランチ休憩(短い!)の後はGame Makerを使ったセッションに移り、メンター達もレッスンの間にソフトウェアの動きを理解するという興味深い進行になりました。ゲームの作成は子供たちにとってもお気に入りだったようで、キーを押すとパックマンがその方向に動くというコードを1方向分を教えただけで残りの3方向をメンターの助けをあまり借りずに書くことができたようです。
最終的にはパックマンを操作してゴーストを食べるというゲームが完成しあっという間の2時間のセッションが終了。終了の際には子供たちもメンターも親も口を揃えてあっという間に終わってしまった楽しい時間を惜しんでいたようです。
「メンターの人がたくさんいて、手を上げればすぐに教えてもらえた」という感想が多かったそうで、メンターや親のサポート体制が行き届いていた事が結果に現れたようです。次回のセッションは3月末に開催され、その後は毎週土曜日の開催になる予定のようです。
元の記事のコメント欄も賞賛のコメントや「Scratchを使ったら?」「Octopintを発見」といったコメントがついていて楽しい雰囲気になっています。日本でもScratchを使った子供向けのイベントを企画している方もいるようですので、このCoderDojoの日本版を見れる日も近いかもしれません。
TechCrunchにも載っていました!
CoderDojoがGitHubと提携して子どもたちのプログラミング独学を支援
githubが子供向けコーディング道場を開催
“もしあなたが7歳の時にプログラミングを学べたらどれだけ素晴らしい事でしょうか?”
githubが子供向けのプログラミングセミナーを行うCoderDojoという企画に参加するという記事がブログに投稿されていました。まずはHTMLやCSSから始まりつつ、PHPやゲームプログラミングなどに発展していく予定のようです。
CoderDojo公式サイトを見るとバッヂとベルトという認定の仕組みもあるようです。
黄色がBasic、青がJunior、赤がSenior、そして黒がMasterとのこと。バッヂ獲得の要件はJSの黄色バッジだと下記のようなものだそうです。
次のことについて学習し説明する。:変数、データ型、関数、配列
次の技術を使ったWEBサイトを作成する。:alerts document.write
バッヂを集めてセッションに参加すると次はベルトという資格が認定されるとの事。githubのサンフランシスコ会場で開催される第一弾は2月の末に開催されるようですが実際のレポートなどを目にするのが楽しみですね。
またもともとアイルランドのNPOがスタートしているこの企画はすでに各国で行われているようで、ロンドンやアイルランドの各都市で開催されているようです。
via:https://github.com/blog/1034-kids-are-the-future-teach-em-to-code
New York にソフトウェアエンジニアリング高校
Etsy のコードを deploy する Fred Wilson
New York 市長 Michael Bloomberg の最近のテック産業への入れこみようは目を見張るものがあります。昨年の NY Tech Meetup でスピーチをしたり、2012年の個人的な抱負はプログラミングを学ぶこと と語ったとか。今度はソフトウェアエンジニアリング専門の高校を作るようです。
新しい高校の名前は The Academy for Software Engineering。今回のプロジェクトの出資者であり、多くの New York テックシーンのメンターである、Fred Wilson も Union Square Venture を構える、New York の Union Square に2012年の秋学期開校します。
Bloomberg Announces New Software Engineering High School, Opening in the Fall
Betabeat の記事は、Bloomberg 市長の挨拶をメインに据えていますが、stackoverflow や、ソフトウェア開発に関するエッセイで有名な Joel Spolsky もこのプロジェクトには関わっているようで、ブログエントリがありました。
New York City gets a Software Engineering High School
Joel Spolsky 曰く、新しい学校について以下の4点を熱く語っています:
- “限定/選抜なし”の学校です。学校の成績や出席は合否に大きく影響しません。それよりも生徒の興味が重要です。(特に New York の)多くの移民は、英語が十分でなく、そのせいで科目の成績も今ひとつなことがありますが、彼らだってすばらしいソフトウェアを作ることができます。優れた成績の生徒だけを集めるより、バラエティ豊かな生徒の方が学校をより豊かなものにするでしょう。
- 我々はソフトウェアエンジニアがもっと必要です。米国の教育システムはテクノロジー産業の要求を全く満たすことができていません。
- 我々はもっと多様性も必要なのです。多くの名門大学で、コンピュータサイエンスは、白人とアジア人の男性という非常に限られた枠内から成り立っています。マイノリティや女性はほとんど見かけません。
- 職業訓練学校ではありません。多くの職業訓練学校と違って、厳格にアカデミックな分野と大学への準備という側面があります。
コンピュータサイエンスといえば外国人が多いという感じがしますが、これは高校の話なので、若いアメリカ人へのアピールなんですね。Bloomberg 市長のスピーチに『Yelp や General Assembly があるNew York テックコミュニティの成長拠点である Union Square に、新しい学校は開校します。新しい学校の生徒たちには、是非そうした会社で働いてもらいたい、もしくは新しい会社を初めて欲しい。』とありました。この学校がこの先の 10年、New York のテックシーンを大きく変えることになるかもしれません。
5歳の女の子が製作したFlashゲームが話題に
5歳の少女、キャシーちゃんが製作したFlashゲーム「Sissy’s Magical Ponycorn Adventure 」が話題になっています。このゲームはトロントで行われたゲーム開発ワークショップ「Tronto Game Jam」で製作されたものです。お父さんも少し技術的な所を手伝ったとありますが、デザインや声の出演、ストーリーなどは本人によるものです。どうやらゲームが公開されているお父さんのブログの記事もあるらしいのですがアクセス集中で全く見えない状態です。
ゲームの内容はSissyちゃんがPonycornを探すというクリックアドベンチャーゲームです。字幕も表示されるのでとてもわかりやすいのでぜひ遊んでみてください。ゲーム本体だけは外部サイトで(おそらく有志が)ミラーしています。
ミラーはこちら。(広告を右下のボタンで飛ばしてください)
それにしてもすごい時代になりましたね。
追記:
お父さんのブログ記事が見えるようになりました。5歳のCassandraちゃんをイベントに連れて行くにあたって、他の人の迷惑にならない事をしっかりと約束させるエピソードなど本人の意思を尊重してお父さんがリードした様子が伝わってきます。キャシーちゃんも10時間以上もイベント会場にとどまり、帰宅後も声の収録作業をするなどかなりがんばっていたんですね。お父さんも「キャシーにとってがんばってプロダクトを作ることでプレイヤーに笑顔をもたらす事ができることを学んだとても価値のある人生経験になった」と締めくくっています。すばらしいですね。
via:http://techland.time.com/2011/05/25/five-year-old-girl-invents-impossibly-cute-video-game/
KIDS RUBY – ゲーム作りや学習に使えるこども用Ruby
先日はJavaScriptを利用した学習環境を紹介しましたが、Rubyを使った学習環境「KIDS RUBY」ものが公開されて話題になっていました。キャッチフレーズで宿題をハックする事に触れているあたりが遊び心がありますね。Windows、MacそしてUbuntuベースのオールインワン環境が整備されているようです。
動作画面
左側にソース、右側に出力という画面構成になっています。すでにBarCampでのハンズオンセッションなども行っているようで普及活動とセットのプロジェクトなんですね。BarCampの写真もなかなか楽しそうです。
ブラウザ上で動く教育用ビジュアルプログラミング環境 Waterbear
ポートランドで開催されたJSConfにて、ブラウザ上で動く教育用ビジュアルプログラミング環境 Waterbearが発表されました。
Waterbearは、MITメディアラボで開発されているScratchに似たアプローチの言語で、制御構造やユーザーの操作をあらわすブロックを繋ぎ合わせることでプログラミングを行います。ベースがJavaScriptなので、ビジュアルに作成したプログラムから生成されたJavaScriptコードを見ることができるのが特徴です。
開発者のDethe Elza氏が目指しているのは、Alan Kay氏がSqueakで目指したものと同様に、
- プログラミングの書籍で使われるようになること
- プログラミングの初学者がよりプログラミングに没入できる環境となること
- 普通の人がカジュアルなプログラマーとなれること
だということです。
実装としては、jQueryやModernizr、Processing.js、Raphael.jsといったライブラリを使ったクライアントサイド(ブラウザ上)で稼働するアプリケーションとなっています。Waterbearのサイトでは実際にブラウザ上からプログラミングを試すことができますし、ソースコードもGitHubで公開されていますので、興味のある方はちょっと覗いてみてはどうでしょうか。
ちなみに、Waterbearという名前はタフさに定評のあるクマムシから命名されたもので、RubyやPythonといった他の言語からも使えるようなとにかくしっかりした言語を目指している、ということです。
via:http://www.readwriteweb.com/hack/2011/05/waterbear-is-like-scratch-but.php