アプリはWebサイトを殺すのか?
A-Listers的にはかなりプッシュしているCoding Horrorに”Will Apps Kill Websites?”と題されたスマートフォン・タブレットのアプリとWebサイトの今後について考察した記事が投稿されていました。記事はeBayが多くに人に使われていて、筆者にとっても有用でさまざまな出来事が起きている事を前置きした上で、「eBayのWebサイトが常に使いづらく閲覧しづらいままだった」事は不変であると述べています。その上でアプリ版eBayとWebサイト版のeBayの比較を行なっています。
筆者によると「eBayのアプリには良くない点もたくさんあるが、Webサイトはさらに最悪」と補足した上でeBayの超熟練ユーザでない限りはWebサイト版を避けるべきであると評しています。教訓として「制約を受け入れる事(embrace constraints)」を挙げています。限定されたUIや限られたスクリーンサイズはMacやPCがパワフルになって失われた強みであるとしています。eBayはWebによくある風土病(endemic on the web)として1999年から機能が増大しつづけ、Webブラウザ上でほとんどなんでもできるようになった結果、ユーザにとっては使いづらいものになってしまっています。
筆者はスケールアップできるシンプルなデザインをせよ、スケールダウンが必要な複雑なものは避けろとしてモバイルファーストのアプローチを取り、どのデバイスでも一貫性を保つように考慮することでシンプルであり続ける事にフォーカスできると説いています。
その上で優れたタブレットなどが存在する今、それでもWebサイトがまだ必要なのかどうかという事を考えるべく、アプリとWebサイトそれぞれが優れている点をリストにして列挙しています。
アプリがWebサイトよりも優れている理由
- より高速
HTMLやCSSといったオーバーヘッドが無く、ユーザの操作に応じてネイティブUIを高速に表示できる - シンプルなネイティブUIを使っている
- 画面を有効に使っている
画面のサイズのバリエーションがPCよりも少ない為、デザインはそれに合わせるさせすれば良い。 - 外出先やオフラインでも使える
Webサイトがアプリより優れている理由
- どのようなデバイスでもブラウザがあれば動く
- インストールの必要が無い
アプリを探してインストールしたとしても大量のアプリをポケモンのように管理しなければならない。 - アップデートの必要が無い
Webサイトは常に最新 - 共通のエクスペリエンスを提供できる
さまざまな種類のUIがあればユーザも提供者側にも負担になる。
筆者はどちらが明確な勝者とは言えず、アプリは常にWebサイトに依存している点に触れた上でアプリに殺されてしまうWebサイトはよほどひどいWebサイトに限られるだろうと結んでいます。元の記事ではここで取り上げていないような点にも触れており、外部記事へのリンクなどもあって気になる方は一読をおすすめします。
via:http://www.codinghorror.com/blog/2012/04/will-apps-kill-websites.html
[…] 過去の資産や Web 上の既存 UI に慣れているユーザーを多数抱えている eBay がモバイル対応の舵取りに悩んでいる状況については先日取り上げましたが、そういった状況が存在する以上、マクルーア氏の思い描く理想のデザイナーが増えてきたとしても「2003年で止まっている」ようなサイトはきっとすぐには変わらないでしょう。ただそのことがビジネスに利益をもたらしているのなら、彼の言う「ただのデザイナー」が美しいと感じないビジュアルデザインも投資家にとってはもちろん正しい回答であると言えます。 […]
eBay でヒドいデザインの方がコンバージョン率が高かった、という話 « A-Listers
2012/05/18 at 08:27