ソ連の宇宙開発で使われていたプログラミング言語は?
stackexchange.com上のソビエトの宇宙開発でどんなプログラミング言語が使われているのか?という話題で興味深い議論が展開されています。
投稿者は「ソビエトの宇宙開発プログラムの宇宙船ブランでProLogが使われていたのを知りましたが、それ以前でどのようなプログラミング言語が使われていたのか誰か知りませんか?」という質問を投稿します。
それに対して「ソース出せ」というツッコミがつくと、投稿者は公開されたCIAの調査資料にProLogが使われていたと記載があったと返信します。
その後の回答で最も支持されているのはロシア語の書籍「 First computers for space applications (Герман Носкин, Первые БЦВМ космического применения)」を持っている方からの回答です。著者自身が宇宙開発に参加していたという事もありかなり貴重な情報が紹介されています。
- 70年代まではデジタルコンピュータは使われていなかった
- 最初に使われたコンピュータはSalut-4でソ連で利用されていたコンピュータと互換性がありPL-1とFortranが使えた
- またブランでは3つの言語が使われていたとの言及がウェブサイトにあり、オンボード機器には PROL2、地上のテストにはDipol 、Laks がモデリングに使われた。
- ブランプログラムが終わる頃、3つの言語はDrakonに統合された。
なんだか身近でない言葉がバンバン出てくるすごい話です。どうやら最終的に長く使われたDrakonも国際的に認知されておらず、情報がWikipediaにも無い状態との事です。インターネットが発達した現代でもアクセスできる情報はやはり英語のものがせいぜいで、それ以外の言語で書かれた知識は埋もれてしまっている事を考えさせれる出来事です。
ブランに搭載されたコンピュータは、自分の知る限りでは0.37MIPSの
ESアーキテクチャ、つまりIBM360互換アーキテクチャ機の筈です。
恐らくは5E89辺りをベースにしたものと思われます。
CIAはrefalあたりをPrologと勘違いしたのかも知れません。この辺りは
軍用に専用言語とリアルタイムOSが供給されていますが、それらの
名前以上の情報は出てきていません。
ソ連最初の宇宙用コンピュータは有人月計画用に開発されたArgon-11cで、
1968年に初飛行しています。当然ディジタル、データバス14ビット、
プログラムバス17ビットのハーバードアーキテクチャの疎結合三重多数決
高信頼性コンピュータでした。
http://www.computer-museum.ru/histussr/13-5.htm
自分の知る限りでは、宇宙用に使用されたもっとも早い高級言語は、
ミールのコアモジュールに搭載されたウクライナ製コンピュータ
Salyut-5B用の言語SOLOPOです。自分の知りえた限りの情報は以下の
pdfの記事として書いています。
クリックして2005_02.pdfにアクセス
英語での旧ソ連コンピュータに関する情報はほとんど存在していません。
詳しくはこちらのサイト等を参考にして下さい。
http://www.computer-museum.ru/english/
ロシア語の記述のほうが充実しています。
水城徹
2012/06/08 at 20:52
素晴らしい情報ありがとうございます!
なるほどCIAの調査も正確ではないといいますか、やはりロシア語で蓄積されている情報が障壁になるという事が証明されましたね。
すでにご覧になっているかもしれませんが、本家でのディスカッションに上記の情報を提供されるとまた面白いかもしれませんね。
ありがとうございました。
yandod
2012/06/08 at 20:56